《 ちょっと間が空きましたので、これまでのおさらいをば 》
*相変わらずくどいので、覚えてるから不要という方は次節からどうぞ。
週刊誌連載の少年マンガ『逢魔の扉』という人気作品を
若手俳優を起用して実写ドラマ化したところ、珍しくも大きに受けた。
サブスク限定などという視聴者確約でもない地上波放送だった上、
週末でもない曜日の深夜枠。
直前まであらゆる情報を秘匿していたがため、
放映直前まで何やかや隠し通されていたという、
どこの誰へ響かせたいのか、イマドキには珍しい戦略まで敷いていた代物だったが、
ほぼほぼクチコミだけであっという間に広まっての爆発的なヒットをし、
見逃し配信がパンクしそうな勢いでの贔屓を生みまくった、伝説級の超話題作となって久しい。
所謂ダークファンタジーというジャンルにあたり、
闇の中から呪いにまつわる様々な怪物や魔物が現れて、非力な一般人に襲いかかるというホラー系。
結構残虐なシーンも多く、観る人を選ぶのではないかと言われていたが、
今どきの若者は怪談が案外と好きな上、魂とか霊性とかいうスピリチュアル系の知識も結構あるし、
そこいらは抵抗なく理解できていて馴染みも早い。
かてて加えて、負の存在だの咒の術式だのという世界観が丁寧に作られており、
出演する俳優たちも個性的なキャラクターにそれは馴染んでいての受けが良く。
原作でも人気があった主役格の青年たちが、最近話題のイケメンたちだとあって、
漫画は知らない、ドラマから観だしたという層にも爆発的に支持された。
メインとなる青年たち4人は 20歳前後という若い彼らだが、それはそれは個性的な顔ぶれで。
ルックスだけで選ばれたわけではなく、俳優としてそれぞれなりに実績を積んでもおり、
活劇も演技もそれは達者なものだから、
このドラマからそれぞれが出演しているドラマや映画を観るようになったなんていう
逆流現象も起きているらしく。
本編のドラマが好評を受けてクール数を拡大したのみならず、
前日譚という格好の長編劇場版も制作されて、
この手の作品はもっぱらアニメでないと受け入れられにくかったものが、
実写には珍しくもヒットし続け、
対象である十代のみならず、
近年とんでもなく話題な作品だと知っているという人まで含めれば
それはそれは幅広い層に“ああ、あの…”という格好での認知を受けるまでとなっている。
最近の趣味趣向やらムーブメントやらの恐ろしいまでの細分化や多様化の中、
何十年ぶりかというほどの “ブーム”と呼んでいいほどに。
そんな中、次に展開されるのは、
神獣界から転送されてきた身であるらしい暁少年の
スピンオフエピソードを
短期連載という格好で公開するらしく。
しかも、単発でドラマ化というあおりがくっついており。
「え?え?」
ドラマ化云々は、まだ正式なオファーも来てはないのでとりあえず置くとして、
これってまさか、いやいやそんなことってと。
今はそれぞれの出演作へ活動中なメインキャストの4人が示し合わせ、
いろいろと情報を精査し合ってみたいと、やや久しぶりにお顔を合わせた。
何はさておき、言わずもがなという感じで、皆して気になっていることの中核を、
スパンと衒いなく口にしたのが、もう何作目かという異端の刑事役をこなしておいでの太宰であり、
「翠龍氏のキャスト、知ってるかい?」
「え? もう決まってるんですか?」
ていうか、それってもしかしなくとも、
自分たちが先行して?体験した、あの摩訶不思議な出来事なんだろうか。
一番きょとんとしておいでの敦少年へ、訳知り顔になってうんうんと頷いた太宰だったのは、
「あの場ではちらっとしか まみえちゃあいなかったけど。」
あれ?そういやあのお人って、私、前にも覚えがあるんだけど…と
そんな気づきがあったため、自分からも探ってはいたらしく。
ちょっと大きめの宣材写真を挟んだクリアファイルを出して見せ、
「ビジュアルがね、そのまんまってほど似てるんだ。」
実際にまみえたというところは他の面々も同じだが、
それにしたってほんの数分というご対面。
それでも、印象的な風貌だったことに加えて、
この“彼”もまた、彼らの奇矯な“前世”でも逢ったことがある存在なため、
中也や芥川も知るところではあって。
「…ホントだ。」
「ああ、そっくりだな。」
そういう役柄なのか、何の感情も載せない醒めた表情なのが、
作り物っぽい印象を受けるほどに精緻な美貌。
切れ長の双眸は宝珠のような透き通った紫の瞳を含み、
柔らかな線で描かれた鼻梁や、頬の優しい隆起がそれは嫋やか。
背中を覆うほどの髪は自前だそうで、
役作りのためか左右で色味を変えた淡い色合いなのが、線の細い風貌によく似合ってもいて。
「無表情なのがちょっと怖いけど…。」
敦にしてみれば、前世はともかく、最近の異界通信でお会いする折の、
優しく微笑んでくれるお顔しか知らないものだから、
どこかとげとげしくさえ見える冷淡なお顔なのへの引っ掛かりもあるらしいけれど。
「日本では活動してないところが、むしろ好都合だったようでね。」
戸籍からして欧州の人であるらしく、
日本では公開されてはない、
欧州発の映画やドラマの出演を何作かこなしておいでで。
幻想的な叙述SFだったり、やや懐古的な世界が舞台の推理ものだったり、
彼らが演じてきた作品とは微妙に畑の異なるテイストのものばかりじゃああったが、
「エキセントリックな風貌だっていうのが受けてたらしくて。」
自分たちからすれば日本人離れして見えた面差しだったが、
本場の異国では静謐が過ぎて、謎の多い役柄へと引っ張りだこになりつつあるそうで。
「こうまでの風貌と神秘的な雰囲気と、
実は活劇の出てくる作品も怖気もせずにこなしてらっしゃるという、
例の作品に出ていただくのに、これ以上はない好条件のお人だったそうでね。」
「で。敦、平常心保てそうか?」
「うわぁあん。//////」
相変わらずに長々としたここまでのお話でした、ご苦労様です。
to be continued.(26.02.06.〜)
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